News Release
第3回オンキヨー点字作文コンクール [海外の部 入選作品]


  世界盲人連合アジア・太平洋地域協議会(WBU−AP)の協力を得て、同会加盟の20カ国(日本を除く)に呼び掛けたところ、韓国、インドネシア、ベトナム、タイ、カンボジア、ミャンマー、フィリピン、オーストラリアの8カ国から計32編の作品が寄せられました。
 8月27、28日の両日マレーシアのクアラルンプールのマレーシア盲人協議会事務所にて選考委員会を開催し、応募32編のひとつひとつを読み上げながら、熱心な審査を行いました。


WBU−APオンキヨー選考委員会
選考委員長  Mr.Ivan Ho Tuck Choy (WBU−AP事務局長/マレーシア)
選考委員 山口和彦(日本)
  Ms.Deborah Ng Wei Cheng(シンガポール)
  Ms.Kamonwan In−AR RAM(タイ)
  Mr.Godfrey Ooi(マレーシア)


■海外の部 入選作品

 ◎最優秀オーツキ賞 賞金 1000 U.S.ドル 副賞(記念品)

  「点字と私」  ベトナム リー・ホン・トイ さん (男性、75歳)
Aグループ(26歳以上)
 ◎優秀賞 賞金  500 U.S.ドル 副賞(記念品)
  「点字〜私のコミュニケーション方法」
   オーストラリア アイリーン・ジョイス・マックミーンさん (52歳、女性)
 ◎佳作(2編)  賞金  200 U.S.ドル 副賞(記念品)
  「私の人生と点字」 ベトナム ニュエン・トラム・ザンさん (46歳、男性)
  「点字とともに立ち上がる」 インドネシア Y・トゥリ・バジオさん (38歳、男性)
Bグループ(25歳以下)
 ◎優秀賞 賞金  500 U.S.ドル 副賞(記念品)
  「私の人生と点字」 ベトナム ブー・ヴァン・チュアさん (17歳、男性)
 ◎佳作(2編) 賞金  200 U.S.ドル 副賞(記念品)
  「点字と明るい未来」 フィリピン ミニ・ジュアン・オブさん (20歳、女性 )
  「私の人生と点字」 ミャンマー マ・ナン・パイン・パインさん (15歳、女性)


入選作品は、作品タイトルのリンクからご覧いただけます。
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■選考評「点字の有効性を再認識」
 選考委員長 アイバン・ホー・タック・チョイ( マレーシア)

  今年からは、25歳以下の青少年グループと、26歳以上の成年グループに分けて選考しました。先天的に視覚障害があり点字を日常的に使って学習する若者と、人生の中途で失明し点字の習得に苦労している人とは、根本的に点字への思いに違いがあるという昨年の反省に立ち、グループ別といたしました。
 本年は8カ国(オーストラリア、カンボジア、インドネシア、韓国、ミャンマー、フィリピン、タイ、ベトナム)から青少年グループ9編、成年グループ23編、合計32編の作品が寄せられましたが、どの作品も各国の盲人協会が推薦するだけあって大変興味深いできばえで、選考には相当な時間を要しました。
 最優秀オーツキ賞に輝いたベトナムのリー・ホン・トイさんは、75歳になる中途失明の男性です。トイさんは、失明前に学んだ英語やフランス語の豊富な知識を基に点字を習得しようと決意します。アルファベットを覚え、略字に出合い、戸惑いながらも根気強く勉強し続け、やがて点字の考案者、ルイ・ブライユの生涯を翻訳し、独力でベトナム語の点字書を完成させました。その後も多くの点字書を製作して、ベトナム点字図書館に貢献し、ベトナム盲人協会を代表し世界盲人連合(WBU)の会議に出席するなどの活躍をしておられます。最近は、高齢のため盲ろうという二重のハンディを抱えていながら、より一層の点字の有益さを表現されたことを重視し、最優秀オーツキ賞と決定しました。
 青少年グループで優秀に選ばれたブ−・ヴァン・チュアンさんは、まだ17歳のベトナム男性ですが、点字のお陰で勉強が楽しく、日常生活面でも点字の活用により将来の可能性の広がりを訴えています。若い時に点字のすばらしさに気づいたのは、本人はもとより周囲の人々にも良い影響を与えることは間違いありません。
 成年グループで優秀となったアイリーン・ジョイス・マックミーンさんは52歳の盲ろうの障害を持つオーストラリアの女性です。大きなハンディを持ちながらも、点字を最大限に活用することにより日常生活が豊かになることを明るく表現して、深い感動を与えてくれました。障害をありのままに受け入れ、周囲のさまざまな問題も工夫と努力で解決する姿に勇気づけられます。
 佳作にはそれぞれのグループから2編ずつ選考しました。フィリピン、ミャンマーや、インドネシアからも佳作の入賞者がおり、この「オンキヨー点字作文コンクール」が着実に浸透しつつあることを裏付けています。特に今年は、盲ろうの人からの応募があり、こうした人たちに点字の持つ重要性を教えられた気がします。
 点字は、教育、就労などの面で強力な手段になっていることはいうまでもありませんが、日常生活の面でも有効に活用できることを再認識させられました。また、その一方で、ラオスやカンボジアなど点字器、点字用紙さえも手に入らないという現状の厳しさを選考委員のなかから指摘されたことも付記したいと思います。
 最後に熱心に選考にあたっていただきました各選考委員の方々に深く感謝するとともに、こうした点字の普及に寄与していただいた、オンキヨー株式会社、および毎日新聞社点字毎日の皆様に心から敬意を表します。


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