オンキヨー世界点字作文コンクール ONKYO WORLD BRALLE ESSAY CONTEST


ジュニア・グループ ヨーロッパ地域 優秀賞
「点字と音楽」
ロシア アミール・グメロフ(14歳・男性)
まるで魔法のような点字!点字をつくってくれた天才に感謝しています。
私は、生まれた時は目が見えました。普通の幼稚園に通い、母から読み方を教えてもらい、本を読むのが大好きでした。夜、両親と生まれたばかりの弟に、本を読んであげるのが好きでした。とても幸せな時間でした。
その後、少しずつ視力が下がり始めました。本を読むのがだんだんむずかしくなりました。両親は、私が童話を読めるようにと、本を拡大して印刷してくれました。
でも、突然衝撃的な診断がくだりました。私の視力は急速に失われていきました。医者も病院も治療も効果は望めず、世界が真っ暗になりました。
怖くて怖くて仕方がありませんでした。どうすればいいのか。どうやって生きていけばいいのか。何を読めばいいのか。
母も泣いていました。私のためにオーディオブックや音楽をかけてくれました。視覚障害者がどうやって生きていくのか見当がつかず、もう人生が終わったかのように思われました。
そんな時、盲学校の話を聞きました。そこでは、かなり昔にルイ・ブライユという人が発明した特別な読み書きの方法を使って、子ども達が教育を受けていることを知り、希望が見えました。また勉強できるのだ!また読むことができるのだ!
新しい学校、クラスメート、先生。新しい生活が始まりました!
私には夢がありました。叶いそうにはない夢。それは音楽です。
私は小さい頃からクラッシック音楽が好きでした。モーツァルト、ビバルディ、チャイコフスキー、グリンカ。作曲家の奏でる音は、私を別世界に連れていってくれます。ハーモニーとインスピレーションの世界へ。寝る前に、母がクラッシックの名曲をかけてくれていたので、私はすっかり音楽に心を奪われました。
ある大晦日のことです。慈善活動家であるパン工場の工場長が、私の夢を叶えたいと言ってくれました。私がおもちゃのハーモニカをほしがっていることを母は知っていました。そのことを聞いた工場長は、私になんと本物のハーモニカをプレゼントしてくれたのです!
感謝の言葉が見つかりませんでした。耳を頼りに、ハーモニカの輝くボタンを探りました。
母は、インターネットでボタンの呼び方や楽譜を見つけてくれました。でも母は音楽のことは知らなかったので、楽譜が読めませんでした。私は自分でやってみました。初めてのカプレット。初めての子どもの曲。楽器が奏でる音にすっかり魅了されました。でも、それで満足はできませんでした。もっと新しい曲を覚えたい。でも、視覚障害者はどうやって楽譜を勉強すればいいのだろう。
再びすばらしい発見がありました。点字で楽譜が読めることがわかったのです!
ルイ・ブライユは、点字で私の生活を大きく変えてくれました。ブライユ自身も音楽家で、点字楽譜を生み出しました。そのことを知った時、これですばらしい音楽の世界にどっぷりとひたることができると思いました。
10歳の時に、大きな転機となった出来事がありました。視覚障害者の私に、音楽を教えてくれるという先生方との出会いです。先生方は、私に新たな世界への扉を開いてくれました。
点字のおかげで、視覚障害者が持つ可能性が無限になりました!科学も外国語も学べて、物語も読めて、音楽も学べるのです。
私の住む町には、すばらしい図書館があります。そこで、いろいろな作家の楽譜を印刷することができます。
点字のおかげで、晴眼の子どもと一緒に、音楽学校で勉強しています。点字のおかげで、自分で作曲し、作曲コンテストにも参加しています。
点字のおかげで夢が叶いました。再び夜に家族が集まって、偉大な作曲家のすばらしい曲を、私がピアノとクラリネットで演奏しています。
幸せな時間です。自分自身を誇らしく思います。視力を失ったことによる困難を、忘れることができます。なぜなら、不可能なことなどないから。点字と音楽があるから!