オンキヨー世界点字作文コンクール ONKYO WORLD BRALLE ESSAY CONTEST

ジュニア・グループ 佳作 西アジア・中央アジア・中東地域 「社会、教育、自立から見たアフガニスタン社会の現状」
アフガニスタン  エスマイル・ミールワイス(24歳・男性)

私たちは、自分が暮らしている国のことであれば詳しく語ることができます。私は、晴眼者として生まれながら後に視覚障害者になりました。ですから私には、私の国アフガニスタンで、視覚障害者が現在おかれている社会的・教育的状況、その自立の状況について語るだけの十分な経験があります。私は幸せな家庭に生まれ、視力も正常でした。思春期を迎える頃に失明するまで、私の人生は素晴らしいものでした。当時、アフガニスタンでは爆発のために多数の犠牲者が出ており、私もその犠牲になって視力を失ったのです。それから苦痛や苦悩、妄想に満ちた日々が始まりました。けれども、私は勇敢に立ち向かい、それらの障害や問題を克服しました。このような経験から、アフガニスタンの視覚障害者が現在おかれている状況をこれからお話しします。

まず、社会は今日の生活においてきわめて重要な側面です。社会は個人の家庭だけでなく、国さらには世界全体でもあります。アフガニスタンの視覚障害者にとって最も困難な障壁は社会生活です。身体的な状態によって社会から辱めを受け、視覚障害者であるという烙印を押されるからです。結婚も大きな問題です。視覚障害のある男性には結婚する権利が与えられていません。相続人が父親の遺産に対する権利を法的に主張する恐れがあるためです。視覚障害のある女性は、家に閉じ込められるために、結婚相手が見つけられません。視覚障害者には仕事も与えられません。家族と住んでいても、部屋に閉じ込められ、「外に出るとケガをするよ」といった、よくある誤った考えによって外出する自由を奪われています。あれが食べたい、こんな服が着たいといったところで、その望みが叶えられることはありません。悲しいことに、出生後に視覚障害があることがわかると、その子どもは病院や公園、モスクなどに置き去りにされます。

今日の社会では、個人の成長の基礎的な役割を担っているのは教育です。世界のどこでも、人は教育を受けることができます。しかしながら、残念なことにアフガニスタンの視覚障害者は、教育の恩恵を受けることができません。視覚障害者向けの教育を行う機関はほとんどないに等しく、視覚障害者を対象にした教育訓練プログラムや施設なども整っていません。アフガニスタンでは今、視力を失う人の数がピークに達しています。ある調査で戦争と視覚障害の関連が明らかになり、毎年10,000人が視覚に障害を負っていることがわかりました。さらに、白内障などの目の病気も依然として視力を失う原因です。しかし、アフガニスタン政府からも国内外の援助団体からも、視覚障害者が自立して生活できるよう支援するための、適切な教育訓練プログラムや施設は提供されていません。

さらに、視覚障害者には、晴眼者と並んでインクルーシブな教育を受ける権利も与えられていません。なんとかしてその権利を手にしたとしても、クラスメートや友人、教師から文句を言われます。家族でさえ、視覚障害のある子どもを学校に連れて行くことを恥ずかしく思っています。必要な教材を手に入れることも容易ではありません。さらには、視覚障害者はモスクで現代的な教育ではなくイスラム式の教育を受けさせられ、他の人から情けと寄付を受ける手段を身に付けるのです。

必要なリソース、才覚、適切な仕事、ほどほどの給料、社会におけるしかるべき地位。これらが揃うことで、人は自立に向けて一歩足を進めることができます。視覚障害者が自立するには、移動訓練、教育(特にインクルーシブな教育)、職業訓練、労働市場へのアクセスなどが不可欠ですが、残念なことにアフガニスタンでは提供されていません。

このような困難があるにもかかわらず、アフガニスタンの視覚障害者は教育を受けたいと熱望しており、中には中等教育や高等教育に進む人もいます。例えば、AAB(アフガニスタン視覚障害協会)の教育プログラムで私の元クラスメートであり、良き友人でもあるナシマさんは、先日カブール大学のLLB学部を卒業しました。視覚障害を抱えながらも、社会で自立している人はたくさんいます。個人事業を営んでいる人もいれば、教師をしている人もいます。政府機関や非政府組織で働いている人もいます。手工芸品の製作に勤しんでいる人もたくさんいます。

まとめると、アフガニスタンの視覚障害者がおかれている状況は、全体としては非常に厳しいものです。教育を受ける基本的な権利を、自分の家族、社会、政府によって奪われています。無慈悲な現代社会によって名誉が傷つけられています。視覚障害者が自立する手段もありません。それでも、こうした状況を改善することは可能です。もちろん、解決すべき問題は山のようにあります。パラダイムシフトを起こすには、視覚障害者達の声を発信する組織、政治的意思を持ち責任を負った政府機関、発展途上国に対する技術や財政面での国際支援などによって、人材を育成し、公平なアクセスを提供するなど、 長年にわたる地道な努力が必要です。こうした粘り強い真剣な取り組みと根本原因への対処によって、望ましい結果がもたらされると思います。