オンキヨー世界点字作文コンクール ONKYO WORLD BRALLE ESSAY CONTEST

アジア・太平洋地域 シニア・グループ 佳作 「井の中の蛙、世界に出ていく」
韓国  キム・ジョンシム(53歳・女性)

私は現在53歳で、全羅南道の霊岩郡にあるウングァン盲学校に通っています。急性出血性結膜炎による緑内障にかかって、眼圧が高くなったので、大きな手術を9回も受けなければなりませんでした。最終的に25歳の時に、視覚障害1級の盲人と認定されました。その瞬間に、私は全盲となったのです。

突然、全てが闇に満たされ、私は恐怖に震えました。人生が急に絶望に変わり、生きる意味を見出せなくなりました。私は長い間、小さな部屋に閉じこもり、深い絶望の中をあてもなくさまよっていました。

皆が私をじろじろ見て、指さして嘲り笑っていると思うようになりました。劣等感にさいなまれ、1日、1日をやり過ごすのが精一杯でした。

幸運なことに、視力を失ったすぐあとに夫に出会い、それから人生が好転し始めました。2人の子どもの子育ては、忙しいながらも楽しくて、時間が経つのを忘れました。結婚後の私には別な世界が待っているのではないかと期待しつつ、勇気を振り絞って、私はだんだんと、外に出るようになりました。

どこに行くにも、夫が私の手を握ってついてきてくれ、私は徐々に勇気と自信を取り戻しました。もう、物珍しそうに私を見つめる人はいませんでした。それどころか、夫と一緒にいて、出会った人に「こんにちは」とあいさつすると、ごく普通に扱われるようになったのです。私への態度がこのように変化したことに、私はとても心を動かされ、嬉しい気持ちを言葉に表せないほどでした。

しかしながら、この嬉しさはほんの短い間しか続きませんでした。ある日、夫が突然病に倒れ、介護施設に入らなければならなくなったのです。しばらくの間、1人で家にいた私は、無動性うつ病を発症しました。精神的にも身体的にも壊れる寸前だったときに、私が住んでいる地域に、韓国盲人連合(KBU)の長興郡支部があることを知らされました。

しかし、韓国盲人連合はあまり宣伝をしていなかったので、何らかの支援をしてもらえるものかと、私は懐疑的でした。さらに悪いことに、私には、KBUの事務局長がいささか変な人物に思えました。私は恐る恐る、KBUに加入したら、どんな恩恵が得られるのか、KBUはどのような活動をしているのかと尋ねました。

事務局長が何度も私を訪ねて、元気でやっているかと気にかけてくれるにつれ、世間やKBUについて私が持っていた否定的な考えは徐々に変わっていきました。実際、事務局長に会い、KBUの活動について知ったことで、私には、新たな希望と人生の新たなターニングポイントが与えられました。事務局長がとても面倒見がよく、理解を示してくれる人だったので、私の「閉じた心」が開いたのだと思います。彼はしょっちゅう私を訪ねてきて、問題が起こったときには解決の手助けをしてくれ、ちょっとしたイベントにも連れて行ってくれました。

ある出会いから、私の人生はまた輝き始めました。ある日、ドアチャイムが鳴ったので、ドアを開けると、ウングァン学校から2人の教師が私を訪ねてきていました。視覚障害者が通える特別な学校があり、そこでは全てを無料で学べるのだと教えてくれました。

最初、私はとても悩みました。家にいれば安心して暮らせるのに、そこを離れて新しい人生のスタートを切るのが怖かったのです。目が見えないのにマッサージを勉強して、習得できるのかと心配でした。2人の娘とも長い時間をかけて話し合い、結局、学校に入学することに決めました。学校では毎日一生懸命勉強し、高校三年生になりました。

振り返ってみると、重要な要因は障害に対する態度だと思います。障害を克服できるかどうかは、障害をどのように考えるかにかかっています。世界を自分の目で見る必要はありません。他の感覚、つまり聴覚や嗅覚や触覚を使うことによって、困難を乗り越えることができます。私は盲人ですが、今ではいつも楽しく自信をもっており、公共交通を快適に利用しています。目が見えなくても、まず自分を愛さなければなりません。そうすれば、他人を愛せるようになります。自分との闘いに勝つことで、障害を克服する最大の力が得られます。

私は、去年KBUの全南支部の会長になり、会長としての職責を果たしています。管轄の視覚障害者が生きる意志を再び獲得できるよう、動機付けのお手伝いをしています。自宅にこもっている人たちに、社会に適応できるようになるためのスキルを身に付けるよう、働きかけています。これらの課題については全て、事務局のスタッフと話し合い、詳細に説明しています。視覚障害者には、同情よりもむしろ受け入れることが必要である、という意識付けを行うことによって、社会の偏見をなくすための取り組みを行っています。

最後に、韓国盲人連合、連合の長興郡支部、そしてウングァン盲学校に対して、井の中の蛙だった私をより大きな世界に連れ出してくれたことに、深い感謝の念を表したいと思います。私の人生を変え、楽な道に逃げるのではなく、他の障害者と共に生き、働くことができるようにしてくれました。この先、どのような障害が待ち受けているのかはわかりませんが、今後も積極的に学び、社会と関わり続けるつもりです。会長としての責務も、誠意をもって実行するつもりです。