オンキヨー世界点字作文コンクール ONKYO WORLD BRALLE ESSAY CONTEST

最優秀オーツキ賞 西アジア・中央アジア・中東地域 「デジタルな未来‐すべてがデジタル化される世界を想像してみよう」
キルギス  ユリア・インワンチノワ(34歳・女性)

私たちは、人類史上最大級の転換期に生きています。デジタル技術の時代が、私たちの生活をまったく新しいものへと変えていきます。半ば現実、半ば仮想の暮らしがやってきます。目を閉じると、遠隔教育を受けたり、公園に座って英語の個人教授をしたりする自分や、ソファに寝そべったまま大事な会議に参加する、あるいは友人のオンライン誕生会を楽しむ自分が思い描けます。日常の用事もデジタルで済ませます。請求書はすべて銀行ポータルで受け取り、支払いもいっさいイーウォレットで。遊びに行くときはカーシェアリングポータルでレンタカーを借ります。オンライン料理教室でレシピを習ったり共有したり、携帯アプリで近所のベーカリーにパンを注文したり。デジタル化された私の生活は、よりシンプルで能率的です。
ではここから、デジタル化によって私たちの暮らしにもたらされるかもしれないグローバルな変化について、私なりの考えを述べてみます。

1.現代の煩雑な行政手続きは完全に姿を消すでしょう。紙の文書はすべて電子文書となります。パスポートは過去のものとなり、体内埋め込み型の生体認証チップに替わります。そこには経歴や生体情報に限らず多くの情報が入っていて、実物の財布、銀行口座、保険、運転免許証、そして通信端末の代わりさえ果たします。さらに、どこにいてもナビをしてくれて、私たちの健康状態もモニターしてくれます。

2.デジタル時代には、グローバルソーシャルネットワークを通じて、個人個人のライフスタイルに合わせて働き、生活し、楽しみます。一方、企業の担う機能は、私たちの安全や健康状態、教育、娯楽、そして仕事の選択肢の管理です。未来の世界では匿名性はあり得ず、そこはまさに巨大なリアリティ番組で、誰もが他人の生活を観察できます。端的に言えば、オフラインで生活するにはお金がかかるのです。

3.従来型の劇場や映画館は、ほぼ姿を消すでしょう。今の映画産業とバーチャルコンピューターゲームとが結びつきます。俳優もおそらく人間からバーチャルへ。例えばダウンロードしたトラックを聞いても、人の声か合成音声か区別がつかない、というように。最近ブロガーが職業としてますます人気ですが、将来は自分で書いた脚本をもとに、自分の映画を制作することも可能になるかもしれません。みんなが楽しめたらいいですよね。

4.バーチャルリアリティ技術で、スポーツもバーチャルに変わるかもしれません。まったく新しいサイバースポーツが、現代のサッカーのように人気を博すことも考えられます。それにサイバースポーツは世界中のバーチャルプレーヤーがだれでも等しく楽しめそうです。世界中でバーチャル開催されるサイバーオリンピックが誕生するかもしれません。そうなったら、従来のオリンピックよりさらに人気になるかもしれませんね。

5.技術自体も進化し続け、ロボット工学、解析学、人工知能の分野に進歩の波が押し寄せます。製造業では、ロボットが人間の単純労働を肩代わりしてくれるようになります。ロボットは、より有能で柔軟性が高く、安全で低価格となり、生産ラインでの品物の仕分けから、地震発生地域での人命救助まで、活躍の場はどんどん広がります。人間の設計者が改良し訓練するロボットのおかげで、人は物理的な仕事を減らし、より創造的な仕事に取り組めます。その意味で将来は、作家、詩人、俳優、歌手、彫刻家やデザイナーといった芸術系の職業が、新たな人気職種になる気がします。ただし、これまでとまったく異なる「デジタルな」方法での創作活動になるのではないでしょうか。

6.世界人口が増え続ける中、現代人が遺伝子組み換え食品や人口食品に大きく依存していることは周知の事実です。生物工学のおかげで、より高収量の作物や多産の家畜が生み出されています。しかし今後は、地球全体の食糧をまかなうための、斬新なアイデアが必要になるでしょう。私は3Dプリント食品も選択肢のひとつだと考えます。3Dプリンターで、形状だけでなく栄養や色、風味、食感などもリアルな食品が作れるようになります。医学の世界では既に、生体材料を基にした人の臓器のプリントに成功しています。プリント食品時代の次は、未知のエネルギー源が発見されて、そこから生命エネルギーを得ることになるかもしれません。

絶え間ない急速な技術の進歩によって、私たちにできることや選択肢の幅は大きく変わっていきます。それゆえ、ある重要な問いを自分に発してみるのは賢明でしょう。「自分は変化を推し進めているのか? それとも変化に追い立てられているのだろうか?」と。