オンキヨー世界点字作文コンクール ONKYO WORLD BRALLE ESSAY CONTEST

アジア・太平洋地域 最優秀オーツキ賞 「いかにして私は視覚障害を乗り越え 社会に貢献できるようになったか」
マレーシア  コン・ウェイツェン(25歳・女性)

私は生まれた時に先天性緑内障と診断され、その後失明しました。光と色のない世界で成長するのはたやすいことではありません。視覚障害によって、人生が与えてくれる様々な機会を探求できなかったからです。それでも私は、夢の実現にとって障害は妨げとはならないと信じて、努力を重ねました。

このような考え方に基づき、私は視覚障害という現実を受け入れ、目の見える人々の世界に参加するため、できる限りの努力をしました。自分の体験を通して、私の国マレーシアの障害者は、いくつかの点でアクセシビリティの欠如により、様々なバリアに阻まれ、その結果、充実した人生を歩むことができず、人生の目標が達成できない、という事実に、私の内なる眼が開かれました。障害者は社会から烙印を押され、同情されたり、マイナスイメージを持たれたりします。この気づきによって、私の人生における確固たる使命が形作られました。マレーシアにおいて障害者の権利を推進する運動のコミュニティーリーダーになるという情熱に火が付きました。

この人生の目標を実現するために、私は法律分野でキャリアを築くという、障害者があまり取らない道を目指しました。そして2013年、法曹界の最優秀学生に授与されるOutstanding Cambridge Learners Award(ケンブリッジ最優秀学生賞)Aレベルを受賞し、障害が成功の妨げにならないことを、自分自身と世界に証明するという期待以上の成果を収めることができました。忍耐と決意によって、イギリスで法学学士を取得し、2016年最優秀の成績を収めて卒業し、歩みを続けました。

その後もさらに忍耐強く努力を続け、2017年法律実務の免許取得を目指し、取得後は、マレーシア最大級の著名な法律事務所で学ぶという栄誉を得ました。2019年2月15日、マレーシア高等法院の弁護士として認可されたことは、私の人生で最も誇らしい出来事の一つでした。

私の人生の歩みを振り返るとき、視覚障害を乗り越え、前述したような業績を達成してきたことを嬉しく思います。これからは、障害者コミュニティーに焦点を当てることで、社会に対する恩返しをする番です。

取り組みの基礎を築くため、私は「Make it right 運動(Brickfields Asia College企業グループのCSR部門)」に、障害者コミュニティーの弁護士として参加しました。この運動は、私の使命を始める上で、優れた基盤になると感じています。包摂的な社会、すなわち障害者がコミュニティーの一員として認められ、彼らの権利が十分守られている社会を推進することで、垣根を超え、障害を乗り越えることを、強く願っています。

そもそも、残念なことに、障害者の権利に関するマレーシアの現行法は、障害者差別を禁止する法的執行力に欠けるという意味で、骨抜きのような状態にあります。生活の様々な側面を享受するための障害者の権利に関する規定も、曖昧で不明瞭です。コミュニティーの弁護士として、他の障害者権利運動とも協力し、障害者権利条約に沿った法律に書き直しをすることで、障害者の権利をより良く保護し、彼らの生活の質を向上させたいです。

さらにアクセシビリティの欠如、特に移動の不便さは、障害者にとって大きな妨げです。マレーシアの道路や建築物は通常、障害者に配慮していません。経験上、一部の建物には、スロープやリフトなど障害者用の施設がなく、視覚障害者や車いす利用者にとって、使いづらいと感じます。イギリスなどと異なり、マレーシアの視覚障害者は、盲導犬などを伴って移動することが難しいです。文化的な背景もあって、まだ社会がそのようなニーズに対応できていないためです。

前述の事柄は氷山の一角に過ぎませんが、障害者コミュニティーの向上のため、変化が必要だと訴えるのには十分かと思います。それゆえに、彼らが直面する課題に対する社会の意識を高め、彼らのニーズに合った現実的な解決策を主張し、障害者たちの声を代弁していくことが、コミュニティーの弁護士としての私の務めだと考えます。

さらに、障害者の強さと能力に関する社会の意識を高めることによって、障害者に対する社会の認識を変えたいと思います。弁護士としての活動を通して、成功した障害者の経験を共有することで、この目的を達成したいと思います。障害者に対する烙印が消えるとき、この社会の隅に押しやられたコミュニティーに、様々な機会の門戸が開かれ、それによって障害者のコミュニティーが豊かになり、長期的に彼らの人生は変容することになるでしょう。

ほとんどの障害者が現在直面している、もう一つの固有の問題は雇用問題です。ほとんどの雇用主は、マイナスイメージや無知から、障害者を雇うことに消極的です。その結果、雇用主は障害者のニーズに対応できないと信じ込んでいます。障害者もまた、社会の評価に影響されて自己評価が低いことが多いですが、労働力としての備えをする必要があります。私は多様な労働を推進することで、このギャップの橋渡しをしたいと願っています。それは、障害者のニーズや、障害者雇用の利点について、雇用主・雇用者との対話を通じ、雇用主を啓蒙することによってのみ、達成できるからです。現在私は、私の属する会社からの支援を受け、この取り組みを行っています。

今後の道のりは多くの紆余曲折があるでしょうが、楽観的な見方を抱き続けています。一つ一つのステップはどんなに小さくても、自分の生涯の目標へと近づく一歩であると信じているからです。忍耐と決意があればいずれ成功に至ると、経験が教えてくれています。私の仕事を通して、バリアを克服し、障害を乗り越え、障害者コミュニティーのより良い未来を形作ることができるでしょう。